思いのたけブログ

令和2年度6月議会で一般質問いたしました。

拓志会の岳康宏です。
通告に従って、「新型コロナウィルス感染症対策の経験を踏まえた地方分権について」一般質問させていただきます。
2000年4月地方分権一括法が施行されてから20年が過ぎました。
今年の6月3日には、第十次地方分権一括法が成立しました。

「地方のことは、地方で考え、地方で決める」
平成5年(1993年)から始まった第一次地方分権改革では、機関委任事務制度を廃止し、県の事務は、「法定受託事務」と「自治事務」に整理され、地方自治体は法令に違反しない限り、条例制定権が拡大されるなど自己決定権が拡充し、以前と比べて地域の実情や県民ニーズ等に即応した自主的な行政運営を行うことができるようになりました。
また、法定外普通税の「許可制」が「同意を要する協議制」に改められるとともに、地方自治体は新たに「法定外目的税」を設けることができるようになりました。
「新型インフルエンザ等対策特別措置法」に規定されている今回の新型コロナウィルス感染症対策は、国においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして地方自治法により、「第一号法定受託事務」とされています。

新型コロナウィルスの感染拡大を食い止めるには、国と地方自治体の緊密な連携は欠かせません。
しかし、感染防止対策の財源、休業要請や補償のあり方などをめぐり、国と地方の間で軋轢も生じました。
日本の地方分権は責任の所在が曖昧な部分もあり、今回のコロナ禍は停滞する地方分権の現状を浮き彫りにしたと感じます。
地方が実情に応じて対策を講じるためには権限と財源が必要で、20年を経ても尚、国からの移譲は十分進んでいません。
新型コロナウィルス感染症対策を経験した今、「国対地方の第2ラウンド」と言いますか、20年前に施行された地方分権一括法の原点に立ち返り、国と地方の関係について今一度どうしたいのか、地方自治体の”本気度”が問われているのではないかと思います。
例えば、国が第一次補正予算に計上した「新型コロナウィルス感染症対応地方創生臨時交付金」の手続きの過程で、国は5月7日に都道府県への配分額を決め、都道府県が国に使用計画を提出して支給されると伺っております。
しかし、危機対応に際し、迅速さが求められることや地方分権一括法の趣旨を考慮すれば、国に使用計画を提出しなければならないのは国と対等な関係とは言えません。
交付金の使い途は都道府県に任せ、国には事後報告でもよいのではないかと考えます。
また、事業者への休業補償について、各都道府県ごとに物価の違いがあるにせよ、同じ休業支援金に、差が、出てしまっています。これは、地方自治や地方分権のあり方に関わる重要な問題で、日本はまだまだ中央集権で、各省庁が都道府県と市町村を様々な面で縛っており、多くの自治体が国からの指示待ち、国の方針を実施することに注力しています。
新型インフルエンザ等対策特別措置法は陣頭指揮を執る都道府県知事に外出自粛や休業要請などの強い権限を与えています。
もし、その行使にあたって、国の「介入」が増えれば、地方の自主性・自立性が損なわれ、国と地方の関係が「対等」「平等」な関係とは言えなくなります。
一方、国は都道府県の措置を調整するようになっています。
同じ施設の取り扱いが県境を挟んで異なれば、休業要請していない県の施設に人が集中するので、隣接県の措置を調整する必要があるからですが、これも九州知事会のウェブ会議を通じて、知事間で情報共有し、結束を強めれば、国が調整するに及ばず、かえって、九州の自主性・自立性を高め、将来の先端・広域行政にもつながると考えます。

「密」から「疎」へ、「集中」から「分散」

コロナ禍の中で注目されるキーワードとして、「密」から「疎」へ、「集中」から「分散」へという言葉があります。
地方分権の目的には①人や財源の分散②少子高齢化への対処、③中央政府の負担軽減④地方と国が対等に⑤財源の付与⑥責任の明確化があります。
地方に権限を移譲し、地域住民がより一層暮らしやすい環境づくりを促進することによって、過度な都心部への一極集中を緩和することが期待されます。
例えば、災害が発生した際、リスクを回避することや、若い人が地方を離れ、出生率が低下し、高齢者だけが地方に残る状況を改善する狙いが地方分権にはあります。
つまり、東京圏への人口の過度な集中を是正し、それぞれの地域で住みやすい環境を確保して、将来にわたって活力ある日本社会を維持することが「地方創生」の理念です。
今回、各地方自治体が試行錯誤しながら行った個性ある独自のコロナ対策は、国よりも自治体の方が地域事情に沿った工夫、柔軟性、スピード感を発揮したように感じます。
市町村合併や三位一体改革での交付税削減は行財政改革に重点が置かれがちで、公立病院や保健所などの地域医療の先細りを招き、今の新型コロナウィルス感染症対策にも影響を及ぼしているように考えます。
多くの道府県において、事業者への協力金等のために、財政調整基金が取り崩され、底をつく事態になっていますが、次の秋冬の波に備えた医療物資等の備蓄や様々な施策のためにも「財源」が必要です。
「飲食店の営業許可」や「住民基本台帳事務」は「自治事務」とされています。であるならば、国の持続化給付金やマスク配布について、今回はやむを得ないとしても、国が民間委託せずに、アフターコロナでは、予め想定して、今回のような感染症が起こった場合、国は、「指針(ガイドライン)」を決めるだけで、細かい事務作業については、地方に財源を渡して、各都道府県に任せるべきと私は考えます。
知事が全国知事会を通じて様々な提言・要望を行っていることは承知しておりますが、今日の新型コロナウィルス感染症対策の「経験」を踏まえて、都道府県知事の裁量権拡大や、さらなる財源の移譲を強く求め続けていくべきと私は感じます。

そこで、知事にお尋ねします。
今回の新型コロナウィルス感染症対策を「経験」し、国と地方の関係についてどのような「気づき」があったのかお答えください。
また、国に対して今後どのような改善策を求めていくのか、特に財源の確保が重要と考えますが、知事の考えをお示しください。
さて、コロナ対応において持続化給付金が国や県それぞれで出されたことやマスクの支給の遅れなど、県民の中には「不公平感」や「不満」を感じる人も少なくなく、国が直接執行する事務において大きな問題が生じてしまいました。
地方自治への国の介入を防ぎ、地域間格差を恐れず、「責任」と「覚悟」を持って取り組むためには、今回の経験を踏まえ、より一層県民に寄り添ったキメの細かい住民サービスを迅速に提供できるようにすべきです。
よって、福岡県は今回の新型コロナウィルス感染症を契機に、今まで以上に地方分権改革を進めていくべきと私は考えますが、知事の決意とご所見を最後にお示しください。

問 国と地方の関係について

○今回の感染症対策にあたっては、私も含め、各都道府県知事が、それぞれの地域事情に応じて、独自の取り組みを実施し、この難局に対応してきた。改めて、現場により近いところで判断し、スピード感を持って対応することの重要性を確認した。

問 今後の改善策について

○今回の新型コロナウィルス感染症対策では、財政調整基金を取り崩しながら財源を確保している自治体も多く、非常に厳しい財政状況に陥っている。全国知事会では、地方創生臨時交付金の「飛躍的増額」を強く求め、私自身も、北村誠吾地方創生担当大臣、西村康稔経済再生担当大臣に直接要望してまいった。その結果、国の第2次補正予算では、この交付金が総額3兆円にまで増額されたところである。

○これからは、新型コロナウィルスと長く向き合っていく新たな段階に入っており、これに対応する安定的な財源の確保は重要な課題であると認識している。

○今後は、新型コロナウィルス感染症の影響による経済の下振れ、それに伴う地方税の大幅な減少が懸念されていることから、国に対して、地方税財源の確保・充実を強く求めてまいる。

問 これからの地方分権改革の推進について

○今回、新型コロナウィルス感染症が我が国の社会経済に与えているおおきな影響をつぶさに見て、多くの国民は、大都市部への過度な人口や機能の集中がもたらすリスクの大きさというものを改めて実感したと思う。

○一方で、テレワーク、リモートワーク、オンライン会議の普及により、地方と大都市は新しい形でつながり、地方への新しい人の流れが、より大きなものになっていくと考えている。また、「新しい生活様式」が実践されていく中で、人々の意識、価値観も大きく変わってくる。我々地方にいるものとしては、そのニーズをしっかり捉え、応えていくことで、更なる地方創生を図ってまいりたいと考えている。

○全国知事会においても、今月4日に発出した「コロナを乗り越える日本再生宣言」の中で、「新次元の分散型国土」を創出していかなければならない、としている。これは、全国各地が感染症に対応しつつ持続的な成長を目指すもので、この実現のためにも、それぞれの地域の事情に精通した地方に思い切って任せるといった地方分権型の国を目指していくことが必要であると考えている。