平成29年11月15日から16日まで福岡県厚生労働環境委員会の管外視察で長崎県対馬市に伺いました。
視察① 社会福祉法人 米寿会 「地域の自然資源を活用した障がい者雇用の促進」
対馬市は、9割近くが民有地の山林が占めますが、そのような環境を生かして、木材加工を行ったり、特筆すべき取り組みとしては、自治体指定のゴミ袋を障がい者の方が研修を受けて、印刷技術を学び、丈夫なゴミ袋を作ったりなさっていました。
その土地の自然環境や地域の特性を活かした障がい者の就労支援事業を勉強させていただきました。
視察② 対馬市役所 「ツマアカスズメバチ対策及び海岸漂着物対策について」
次に、対馬市役所をお訪ねし、ツマアカスズメバチの防除対策に対馬市としていかに取り組んだかについてご説明を受け、その後、現地の海岸に向かって、中国や韓国など主に海外からの海岸漂着物の実態と対策についてお話を伺いました。
海岸線に伺うと、大変寒かったですが、清掃したばかりの海岸には、すでに発泡スチロールや大量の木くずやゴミが置いてありました。
風の強い日には、山林までゴミが吹き上がるそうで、韓国の若者にもその実態を知っていただくために、韓国の学生さんを招いて、一緒に海岸線を清掃した後にワークショップを開催し、将来、こうした取り組みを通じて、韓国からの海岸漂着物がなくなることを願って努力しているとのことでした。
福岡県の場合も、先日、豊かな海づくり大会が開かれた宗像市沖などにも、やはり韓国からの漂着物、アナゴ取りの仕掛け、発泡スチロールやペットボトルなどが流れついていると聞きますので、是非韓国や中国の学生との交流や取り組みは参考にしていきたいと感じました。
対馬市のメインストリートは、先だって「世界の記憶」登録で話題になった朝鮮通信使が最初に日本で立ち寄った場所だそうで、日本の玄関口として、対馬特有の石灰岩の塀を使って整備し、朝鮮通信使をお迎えしたそうです。
視察③ 対馬野生生物保護センター 「希少野生生物の保護活動について」
対馬市2日目は、北の方まで移動して、対馬野生動物保護センターに伺いました。
ツシマヤマネコの捕獲の仕方や特徴について細かく説明を受け、その後、環境省九州地方環境事務所の対馬自然保護官事務所の方から野生動物といかに共生しながら地域づくりに取り組むべきかについてお話を伺いました。
対馬市の現状は、対馬市で続いてきた人間活動・産業が衰退し、環境が変化しつつあり、持続可能な社会と言えるのかという課題を提起され、自然や野生生物を単に保護するのではなく、地域の資源として「活用」していきながら、野生動物との共生を図りながら行政として、誰が主体的に取り組みを考え、実行に移していくかの手助けを行っていくことが対馬市として喫緊の課題だと考えるとのことでした。
視察④ 長崎県対馬病院 「離島医療について」
最後に、長崎県対馬病院をお訪ねし、離島医療の現状と課題について、川上院長先生からお話しをいただきました。
国境の島である対馬に住んでいる人々は、長崎県よりも福岡県に行ったことがある人がある人が多く、その昔、転県運動が起きたくらいだそうです。人口減少が進み、若い人と言っても自衛隊の家族の方くらいだそうで、本当に手に負えない病気についてはドクターヘリで福岡県に搬送することが多いそうです。
ガンの放射線治療については、痛みを和らげてあげて、薬を飲む量を減らす目的で行っているとのことで、2年前に出来たばかりの病院は素晴らしい施設でありました。
今回の視察での調査事項を精査し、しっかりと福岡県の施策に反映できるよう見習うべきところは見習い、参考にしていきたいと存じます。