思いのたけブログ

令和元年度12月議会で一般質問いたしました。

拓志会の岳康宏です。
通告に従って、一般質問させていただきます。
まず、初めに、「本県と韓国の関係」についてお尋ねします。
私は、今年の5月4日、5日、韓国釜山市とソウル市を訪問し、呉巨敦(オゴドン)釜山広域市市長と盧英敏 (ノヨンミン)韓国大統領府大統領秘書室長にお会いする機会をいただきました。


(左から) 山﨑拓 先生、盧英敏 大統領秘書室長、岳康宏

徴用工問題はじめ様々な問題で日韓関係が冷え込み始めていましたので、大変センシティブで緊張感のある会談でしたが、そのような時期だからこそ胸襟を開いて相手の「本音」を聞くことができました。呉巨敦(オゴドン)釜山市長は、お話の中で、「朝鮮通信使の会合がこの後ありますが、わざわざ自ら出席するのも日本との、特に、福岡、九州との関係を大事だと思っているからです。
政府間の関係だけでなく、地域連携が大切であると考えます。
日韓関係において、釜山については、日本の”特別区”のように思っていただきたい。日韓関係は、未来志向で大きな流れを作っていかなければなりません。」と、おっしゃいました。
そこで、知事に質問いたします。
本県と韓国の関係は、様々な観点で、まさに一衣帯水の関係です。来年東京でオリンピック・パラリンピックが開催されますが、時期を捉えてこちらから訪韓し、呉巨敦(オゴドン)市長がおっしゃるような「地域連携」を図るべきと考えますが、知事のご所見をお聞かせください。


(左から) 岳康宏、呉巨敦 釜山市長、山﨑拓 先生、張済國 東西大学校総長

知事答弁】
○ 先月、日韓GSOMIAの終了通告が停止となったが、依然として両国政府の関係は難しい状況にある。
我が国にとって最も近い隣国である韓国との関係は大切であり、本県としては、このような時だからこそ、日韓の知事会議や共同交流事業をはじめとして韓国との人的交流、地域間交流をしっかり進めてまいりたいと考えている。

○ これまで、本県は、韓国との間で日韓海峡を挟んだ8つの自治体による知事会議を毎年開催し、その合意に基づき、稚魚の共同放流や環境施策に係る共同研究など、幅広い分野で具体的な交流事業を行ってきたところである。

○ この知事会議は、日本と韓国で交互に開催されており、28回目となる今年の知事会議についても韓国側との協議を重ね、今月、長崎県で開催する準備を日韓双方で進めている。
釜山広域市を含む日韓8つの自治体が一堂に会するこの会議が、このような時期に開催されることは大変意義深く、両地域の今後の交流や連携について、率直な意見交換を行いたいと考えている。

次に、福岡空港についてお尋ねいたします。
福岡市中央区天神地区では、現在、天神ビックバンの計画が次々発表されています。空港が近いという福岡の特性によって高さ制限があったものを緩和し、インテリジェントビルを建設するからには、今後、企業の本社機能移転を積極的に誘致し、空港の路線誘致につながるような開発にしていかなければなりません。

天神ビックバンは開発計画が目白押し

12月2日の自民党税制調査会で、地元の鬼木誠代議士が今年度終了期限となっていた福岡県のグリーンアジア国際戦略総合特区税制における所得控除制度の延長を求めた発言によって、企業誘致のための優遇措置を維持できることになりました。

大名小学校跡地

今年4月に民営化した「福岡国際空港」の令和元年9月中間連結決算によると、韓国路線の旅客が減ったことが着陸料収入や免税店の売り上げに響いて、韓国路線について「収益ベースで約11億円マイナス、利益ベースで約4億円マイナスの影響があった」とのことです。


福岡空港 国内線 国際線の完成予想図

西日本鉄道は、2021年の開業を目指して国際展示場を空港近くに建設予定ですし、東京の羽田空港も大型バスターミナルや日本最大級のホテルを建設中で、空港自体を”観光地”にしようとしています。
現在の福岡空港は、「混雑空港」に指定され、滑走路1本あたりの発着回数は日本一、日本で4番目の発着回数を誇るため、2本目の滑走路の整備を進めています。しかし、今後福岡空港の滑走路が2本になっても、現在の1.3~1.4倍にしか就航路線数は伸びないと聞いていますので、路線の多角化とともに路線の「質」の充実が課題となります。


そこで、知事に改めて質問いいたします。
戦略的な路線誘致などによる航空ネットワークの充実並びに、安全性の確保はもちろん、福岡空港の都心に近いという強みであり、その一方、弱みである騒音問題など空港運営について、本県の考えや地域の意向をどのように反映し、民営化された福岡国際空港株式会社との連携を図っていくのか、知事のお考えをお尋ねいたします。

【知事答弁】
○ 民間委託後の福岡空港が、地域の期待する役割を将来にわたって持続的に果たしていくためには、地域の意向を、公的な立場から空港運営に適時的確に反映させていくことが必要である。

○ このような観点から、県は、本年2月福岡空港の運営会社である福岡国際空港株式会社へ出資を行い、出資者として、経営の最終的な意思決定の場である株主総会で議決権を行使するとともに、事業計画の策定など業務執行上の重要事項を決定する取締役会に非常勤取締役として参画し、必要な意見を述べてきたところである。

○ さらに、空港運営会社との間で定期的な協議の場を設け、「福岡県の空港の将来構想」に基づくオーストラリアをはじめとした欧米豪路線や未就航のアジア路線などの戦略的な路線誘致、北九州空港との連携など、様々な県の施策と空港の事業運営との方向性の共有を図るとともに、日頃から、空港の騒音や安全対策などに関する諸問題についても、意見交換を行っているところである。

○ こうした取組みにより、空港運営会社との連携を進め、地域の期待に応える福岡空港の運営の確保を図ってまいる。

最後に、ヨーロッパ(特に英国)からの誘客について質問いたします。
博多港はブリヂストン創業者の石橋正二郎さんの遺言のおかげで、「ブリヂストンのタイヤ」を特に多く輸出し、博多港の輸入品として、特筆すべきは「牧草」で、後背地である鹿児島、宮崎、熊本など幼い牧牛などの飼料としてカナダやオーストラリアから輸入されています。そのため、わざわざ大型船が「ブリヂストンのタイヤ」目当てに博多港へ寄港してくれていましたし、「牧草」などを運ぶために、北米航路を立ち寄らせています。
つまり、博多港で北米航路のような基幹航路が物流面の強みとして維持できているように、福岡空港においても、世界や日本の航空会社が是非とも欧米航路の直行便を就航したいと思わせるような福岡県、九州の魅力を世界に発信していくことが求められています。
今年は、ラグビーのワールドカップが初めて日本で開催されましたが、規律を守り、自己犠牲を厭わず、フェアプレー精神で試合に臨み、試合が終われば、相手を尊敬し、互いを称えあう選手の姿に、日本人は心打たれました。
武道にも通じるような礼と節を重んじる選手たちの受け応えにも、にわかファンですが、すがすがしさを感じましたし、被災者のために疲れた体を気にすることなく、献身的にボランティアを買って出る選手たちに心からの敬意と感謝を表します。
日本政府観光局によれば、10月の訪日外国人客数は、特にイギリスが対前年比85.6%増で、一番の増加率という結果が出ました。
このようにラグビーワールドカップの開催は福岡県に興味を持ってもらい、行ってみたいと思う大変重要なきっかけとなったことは間違いないと思っています。
特に、北九州市におけるウェールズ代表の事前キャンプ地誘致並びにおもてなしのおかげでウェールズラグビー協会からのお礼の一面新聞広告が出され、北九州市もそれに応えウェールズの地元紙「ウエスタン・メール」に返礼として感謝の言葉を英語とウェールズ語で掲載するほど、北九州市とウェールズの『絆』が生まれたことは素晴らしいレガシーです。

ウェールズラグビー協会の一面新聞広告での北九州市民への御礼文など

イギリス人は今回の大会を通じ、いい意味で今までと違う日本への印象が心に芽生えたと思います。
この出来事を一過性のものとせず、ストーリー性を持たせる努力をすべきと考えます。

本県ご出身で、イギリスで成功した徳峰国蔵が創業した、ロンドンにある「ジャパンセンター」は、フランスをはじめヨーロッパ全土から日本の食材を求めて買いに来る「日本のアンテナショップ」のようなショッピングセンターです。英国には、昇龍ラーメンへ「福岡県のラー麦」を輸出しています。福岡県東京事務所のお隣は、英国大使館があります。
例えば、イギリスの「ジャパンセンター」で、「福岡県フェア」を知事自ら、日本政府観光局と連携してプロモーションを行うのも一つのアイデアだと、個人的には思います。

つまり、本県との関係性を考慮し、欧米豪の市場の中で「ターゲット」を絞って橋頭堡を築き、英国を拠点に、ヨーロッパを攻めるというか、永続的に本県の魅力を発信してはどうかと考えます。

福岡県ゆかりの2017年にリニューアルオープンしたロンドンにある、ジャパンセンター

インバウンドから、MICEなどの国際会議誘致を通じたビジネスインバウンドへ、そして最終目標は、ビジネス客を引きつける都市として、滞在期間が長く、「モノ消費」より「コト消費」を重視し、一人当たりの消費額が高い市場の開拓が本県にとって重要です。そのことが福岡空港における戦略的な「質」の高い航路誘致にもつながると考えます。

そこで、最後に質問いたします。
本県としてこの機会を捉えてヨーロッパ(特に英国)からの誘客について、九州観光推進機構との連携も含め、現在どのようなことに取り組み、また、今後どのようなことを行っていくつもりなのか、知事のお考えをお示しください。

【知事答弁】

○ 欧州については本県への直行便が少ないことから、航空会社と連携し、羽田・成田空港経由での誘客促進を図っているところである。
11月は国際線においてCNNトラベルで選ばれた本県の観光スポットを紹介した動画の放映を行った。今月からは、航空会社の予約サイト上への本県特集ページを掲載し、本県の魅力をPRしている。併せて、東京ー福岡便の特別運賃を利用した旅行商品の造成に向けて、現在、フランス、イギリスの旅行会社の選定を行っているところである。

○ また、九州観光推進機構と連携し、イギリスを含む欧州からメディアを招請し、県内の観光地を視察いただいたところである。

○ 今後、イギリスなど欧州に向けては、今回のラグビーワールドカップにおける取組みの成果なども踏まえ、東京2020オリンピック、パラリンピックを契機とした誘客プロモーションなどの施策に取り組みたいと考えている。