思いのたけブログ

【平成29年度福岡県予算案事業概要】「地域医療介護総合確保基金事業」の「訪問歯科診療推進整備事業」について

 いよいよ平成29年2月24日(金)から福岡県議会平成29年2月定例会が始まりました。予算委員会も含め3月28日まで続く長丁場です。予算審議を含め充実した議論を行いたいと思っています。

さて、その平成29年度事業概要(案)の中で、写真のように「地域医療介護総合確保基金事業」の「訪問歯科診療推進整備事業」のうち、新たに福岡市歯科医師会の事業として以下の予算が盛り込まれました。
②【新】在宅歯科口腔機能等評価法構築事業(予算案の額:8,551千円)
③【新】在宅歯科同行訪問研修事業(予算案の額:2,090千円)
②と③の合計額は、10,641千円です。形式上は、福岡県歯科医師会の事業の位置づけになります。
なお、福岡市歯科医師会の当初の要求額は、②が13,235千円、③が2,041千円、合計が15,276千円でした。

これから高齢者が増え、人口減少社会を迎えるわが国では、地域医療における在宅医療の果たす役割が重要になってきます。つまり、病院ではなく、「かかりつけ」の医師や歯科医師が責任をもって地域包括ケアを実践し、在宅での診療を進めていかなければならなくなります。

そのために、今回は、全国的にも歯科医師が多い福岡市において訪問歯科診療における先進的な取組みを行うことで、歯科医師が多いことがかえって利点となり、訪問歯科診療をいとわない先生方が増えるような事業に取り組もうとなさっています。

つまり、地域医療の中で、地域包括ケアシステムをいかに構築していくのか、医療業界の方々は日夜研鑽努力なさりながら、「かかりつけ」の役割をいかに果たしていくかをお考えになっています。

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私は、昨年の12月議会で以下のような「訪問歯科診療の充実のための取組みについて」一般質問をさせていただきました。

これからもしっかり福岡県歯科医師会様・福岡市歯科医師会様と連携して、いかに安心できる幸せな生活を過ごすことができるかを考えていきたいと思っています。

在宅歯科診療推進整備事業

在宅患者における要支援者に対し、口腔状態を把握し、固有口腔に関する口腔介護度の分類を確立、構築することにより在宅歯科診療の整備が行いやすい環境とすることが目的である。つまり、在宅患者の日常動作機能・認知機能を含めた患者自身の残存機能や治療協力への程度の評価や、罹患疾患や既往歴、服用中の薬剤、歯科治療上の留意点までを含めた評価を行い歯科医療機関とのマッチングを図り、訪問歯科診療を円滑かつ効率的に行う。

具体的には、在宅患者に関わる医療多職種や患者の家族でも理解できるような指標を別途作成することで、大まかな訪問先の患者の状態が一早く把握できることとになり、治療に望む歯科医師側の対応や訪問器材の準備等がスムーズに行え、多くの在宅患者を支援できる無駄のない訪問歯科診療体制の確立に繋がる。

 

自由民主党県議団の岳康宏です。

通告に従って、一般質問させていただきます。

まず初めに、福岡県の訪問歯科診療についてお尋ねします。

本年4月現在、福岡県の高齢化率は25.7%ですが、今後も高齢者は増加を続け、団塊の世代が75歳以上となる2025年には、30%を超えると推計されています。

このような中にあって、一人一人の主体的な健康の保持増進の取り組みやそれに資する社会環境の整備が急務であります。

人間が健康の保持増進を図っていくには、適度な運動はもちろんですが、規則正しい生活の涵養とバランスの取れた食事をとることも重要です。

高齢化が進む中で生涯にわたり、「食べる」「話す」といった生活の基本となる機能を維持し、自分らしい健康で生き生きとした生活を送る上で「口腔ケア」すなわち「口の中の健康づくり」の重要性が改めて注目されています。食事が美味しいと感じることができることは高齢者にとって特に重要であり、口の中の健康が全身の健康にも関わっていることは、様々な調査・研究で明らかにされています。

口腔ケアや口腔機能の回復が体全体の心身の状態が低下することへの予防・改善につながり、糖尿病や誤嚥性肺炎などにも大きく貢献することが分かっています。また、「食べる」ことを楽しむための「飲みこみ力」つまり、嚥下トレーニングも健康寿命を伸ばす効果があります。

それにも関わらず、厚生労働省の歯科疾患実態調査によると、80歳から84歳の「進行した歯周病を有する者」の割合は、平成11年度の28.1%が平成23年度には42.6%と大きく悪化しております。

今後、地域医療構想により回復期・慢性期における病床数は減少し、在宅で医療を受ける高齢者が増加するわけで、このような在宅患者の健康支援、つまり、地域における在宅歯科診療の役割はより一層極めて重要になってくると考えます。

たとえ医療介護が必要となっても、住み慣れた地域で自分らしい健康で生き生きとした生活を人生の最期を迎える時まで続けることができるように、2025年をめどに、「医療」「介護」「予防」「生活支援」「住まい」の各サービスが一体的に提供される「地域包括ケアシステム」を構築することが求められています。

医療に関しては、効率的かつ質の高い医療提供体制の構築に向けた取り組みが行われており、「治す医療」から「治し支える医療」へと、医療ニーズのある高齢者の在宅生活を支える「在宅医療」の役割は益々重要になるものと考えます。

その一方で、本県では、歯科医を養成する施設として、九州歯科大学、福岡歯科大学、九州大学の3つの大学があり、歯科診療所も福岡県において3194か所となっており他県に比べると充実しています。

しかしながら、訪問歯科診療を行う「在宅療養支援歯科診療所」は、本年7月1日現在で410か所と割合的には全国と比べて多いようですが、全体のほぼ1割に留まっています。

より多くの歯科医師が訪問歯科診療に参画するように、訪問歯科診療の一層の普及、環境整備が喫緊の課題と言えます。

そこで、知事にお尋ねします。

訪問歯科診療の充実を図るため今日までの取組みについて具体的に説明願うとともに、更なる普及に向けて県行政の中で一層の取組みが求められるところですが、県の抱負をお聞かせ願います。

福岡県は歯科医師が多いという強み・特性を活かし、多くの歯科医師が訪問診療を行うことをいとわず、皆がいつでも訪問歯科診療を行える体制づくりを福岡県として積極的に支援していくことが肝要であると存じます。地域の歯科医師会とも緊密に連携しながら、取り組みを進めるべきと考えますが、知事の前向きなご答弁を期待いたします。

問 訪問歯科診療の充実のための取組みについて【知事答弁】

 自宅や介護施設で療養する方々が訪問歯科診療を受けることができるよう、6か所の郡市区歯科医師会では、「在宅歯科医療連携室」を設置している。連携室では、認知症のため自分で口腔ケアができないといった相談に歯科衛生士が対応し、訪問歯科診療につなげている。

 また、訪問歯科診療の充実を図るため、全ての郡市区歯科医師会が、会員が共同で利用することができる訪問歯科用医療機器を配備している。

 さらに、県歯科医師会では、介護支援専門員を対象とする口腔ケアを考慮したケアプランの研修会、歯科医師をはじめ多職種が参加する事例検討会を開催している。

 県は、これらの取り組みに対し、財政的な支援を行っている。

 平成25年3月に制定した「福岡県歯科口腔保健の推進に関する条例」では、高齢者の歯科口腔保健を基本的施策の一つに位置づけており、今後も引き続き、歯科医師会など関係団体と連携して、拠点の整備など、訪問歯科診療の一層の充実に取り組んでまいる。