思いのたけブログ

ハワイの観光について【日米議連によるハワイ州における視察調査報告1】

先般、ハワイ福岡県人会60周年記念式典、福岡県・ハワイ州姉妹提携35周年記念式典並びに福岡フェアに合わせて1月17日(火)から1月24日(火)までアメリカ・ハワイ州を訪問してきました。

その期間中、ハワイ州の関係機関との意見交換をまとめましたので、ここにご報告いたします。

1.ハワイの観光に関する意見交換

  1. 日 時:1月19日(木)9:00~
  2. 場 所:ハワイ・コンベンションセンター
  3. 対応者:ハワイ州政府 産業経済開発観光局観光部門
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■事業の概要

産業経済開発観光局(HTA:Hawaii Tourism Authority)は、ハワイ州の外郭団体で、独立採算で運営している。世界に10の委託先がある。2020年の東京五輪からサーフィンが正式種目となるが、ハワイはサーフィンの発祥の地であるので大変喜んでいる。次の4つの戦略を掲げ、5年計画で数値目標を設定して事業を進めている。

◎4つの戦略

1 観光の目的地としての完全性を高める【目的地としての「品格」、格を高める】

2 経済的利益を確実にする→安定した経済効果 ハワイの観光経済効果 15兆2000億円 1兆7000億円の利益

3 ハワイの価値を高める【様々な観光地の中におけるハワイの「価値」を上げる】

4 HTAに対する評価を高める HTAの役割→メインは観光だが、ハワイ政府がしていることをカバー(フォロー)すること

a)ハワイの文化・伝統を守っていく b)教育→知っていただく⇒雇用創出 c)安全を保つ

■意見交換の概要

Q 世界に委託先があるとのことだが、九州や福岡には?

A 日本の拠点は東京(本部:半蔵門)、九州には福岡を含め二ヶ所の委託先(サテライト・オフィス)がある。

Q 観光収入のここ数年の状況は?

A 上昇傾向にあり、昨年は過去最高の収益であった。

Q 観光の仕方などに何か変化はあるか?

A 一番の課題はスマホで情報を得て観光に来る人々への対応である。スマホで調べて、地元の人たちに人気の場所、ワイキキの外に行く観光客が多くなってきており、そこに住んでる住民の日常生活とどう折り合いをつけるかが課題である。

Q 日本ではカジノが解禁されたが、ハワイは?

A ハワイではカジノを含めギャンブルができる所はない。ハワイにギャンブルは合わない。

ハワイのブランド、家族を連れて行く場所というイメージを大切にしたい。

Q オワフ以外のどこかの島に限って、あるいはクルーズ船の中に限ってギャンブルを認めるなどの方法もあるのでは?

A 繰り返しになるが、ハワイ1番の観光客は家族旅行者、次がハネムーナーであり、ギャンブルはハワイに似つかわしくない。実は、ハワイの地元の人々はギャンブル好きの方も多く、その多くがラスベガスに行く。そのようなニーズがあることは承知している。

Q では、なぜニーズがあるのに解禁しないのか?

A 「日常生活から離れてゆっくり過ごす癒しの場」というハワイの確立したブランドを守りたいと考えている。

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ハワイ観光で大切にしていること

「バランス」が大事ということ。

観光に訪れる人と住んでいる人のバランスに気を配り、温度差が出ないように、バランスを保ち続けることが肝要である。ハワイの人はラスベガスに「ギャンブル・カジノ」に行くのを楽しみにしているが、ニーズがあるのにハワイでカジノをやらないのは、ハワイ=「癒し」の場所ということをはっきりさせておきたいから。

「コミュニティ」にどんなインパクトがあるかということ。
バランスが大事ということとつながっていて、繰り返しのように聞こえるかもしれないが、ワイキキに集中していたのが、地元の人が行くところに行きたがる観光客が増えており、地元の人との「折り合い」をいかにつけていくかに気配りしている。

Q ワイキキのホテルが増えていると聞いているが、今後も増え続けると考えておられるか?

A ワイキキに新しいホテルが出来るのは歓迎している。しかし、オワフ島以外の島にも観光客を誘導したい。ハワイ島のコナ国際空港に先月日本との直行便が就航した。

Q 住宅の価格が十年で4倍に上がったと聞いている。格差社会になり、ハワイは富裕層しか住めない場所になってしまうのでは?

A ハワイ州議会下院の開会式でも、住宅の価格の高騰により地元の方々の生活が厳しくなっており、観光開発に反対する動きもあり、政治的課題だという指摘がされていた。観光と地域の人たちの生活とのバランスが重要。また、上院でも低所得の人たちのための住宅が必要との議論がされていた。

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ここで、最後に、ハワイ州の税金について触れておきたい。

ハワイ州の財政を支えるのは消費税である。さすが世界一の観光地だけあって、半分以上の財政収入がこの消費税によるものだそうである。

アメリカでは州によって税率が違うが、ハワイ州の場合は買物や食事代などにオアフ島では4.712%(他島は4.166%)の州税が加算される。 また、消費税とは別に「宿泊税(ホテル税)9.25%」というものがある。

これは、朝食代金等のサービス料を除いた室料の9.25%。

宿泊代金を計算する時には、客室料金に州税:4.712%とホテル宿泊税:9.25%を加算する。

例えば、オアフ島で1泊100ドルの客室料金に宿泊した場合、$113.92が1泊あたりの客室料金になる。

■客室料金$100+(ハワイ州税:4.712%+テル宿泊税:9.25%の13.962%を加算)=宿泊代金$113.962 なお、この税率は経済状況や政府の方針によっても変更される場合がある。

また、この宿泊税はハワイの観光機関「ハワイ・ツーリ ズム・オーソリティー」を通じ、ハワイ州の観光促進に活用されている。

【参考】

※TMD・・・Tourism Marketing District。

地区のプロモーション活動の資金を捻出するため、地区内に立地するホテル売上額に課税する仕組み。ロサンゼルス・サンディエゴ・ニューヨークなどで実施。

※日本は、2012年より東京都内の旅館またはホテルに一定の金額以上の料金で宿泊した場合、宿泊税を課税することになっている。宿泊税は、都内のホテル又は旅館に宿泊する方に課税される法定外目的税で、平成14年10月1日から実施されている。宿泊税の税収は、国際都市東京の魅力を高めるとともに、観光の振興を図る施策に要する費用に充てられる。また、大阪府では、平成29年1月1日から法定外目的税として宿泊税を導入し始める。宿泊税は大阪が世界有数の国際都市として発展していくことを目指し、都市の魅力を高めるとともに、観光の振興を図る施策に充当していくとのこと。

福岡県では、コンサートや国家試験、コンベンションによる国際会議などで、宿泊先確保が難しい例が増えており、安定した宿泊先の確保とこのような宿泊税の検討もする時期に来ているのではないかと考える。

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