思いのたけブログ

持続可能な漁業の推進について

平成28年10月27日(木)、平成28年度決算特別委員会第4日目に『持続可能な漁業の推進について』福岡県執行部に質問させていただきました。

詳細は以下の通りです。

自民党県議団の岳康宏でございます。
本日は、持続可能な漁業の推進について、質問させていただきます。

本県は、東には豊前海、北には筑前海、南には有明海と性質の全く異なる3つの海面と筑後川をはじめとする大小様々な河川や湖沼がございます。

問1 そこで、まず、本県のこうした海や川がもたらしてくれる水産物の特色や魅力というものについてどう考えているのかお聞かせください。

答1 本県では、漁獲量全国1位のマダイをはじめ、第3位のフグ類、ワタリガニ、ノリ、第4位のイサキ、アマダイ、クルマエビ、コイといった、全国有数の漁獲量を誇る魚介類があります。また、先ほど委員の発言にもあったように、本県は3つの海と内水面を有し、その水面から四季折々に様々な種類の魚介類が水揚げされることから、消費者の皆様が、「魚を堪能する」という観点からいいますと、非常に恵まれた環境にあり、それが魅力であると考えております。

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先日出席いたしました福岡市中央卸売市場鮮魚市場での“海の恵み感謝祭”におきましても県漁連からの来年開かれます“豊かな海づくり大会福岡大会”への協力要請に中央卸売市場関係者からも力強く喜んで協力する旨ご挨拶がありました。

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その後、漁獲量全国1位とご紹介のあった“マダイ”の放流も行わさせていただきました。

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問2 しかし、そのような魅力ある水産物も無尽蔵ではありません。最近、様々な分野で「持続可能な(サスティナビリティ)」というキーワードをよく耳にしますが、水産資源においても持続的に利用していくためには、資源を管理して漁獲していくことが重要であると考えます。県では、現在、どのような資源管理の取組みを行っているのかお聞かせください。

答2 委員、ご指摘のとおり、水産資源は産卵期の魚の保護や乱獲の防止など漁獲を適切に管理することで、持続的な利用が可能となります。このため県では、網漁業等を知事許可制とし、漁業種類ごとに船の隻数、操業の区域、網の目合い等を制限するとともに、一定の大きさ以下の魚は海に戻すなどの資源管理を漁業者の方々と一体となって取り組んでおります。

問3 資源管理は当然漁業者の深いご理解が必要であると思いますが、どのようにして漁業者の理解を得る努力をなさっていますか?

答3 資源管理は、漁業者にとって一時的な収入の減少を伴います。実効性のある資源管理を進めていくためには、漁業者に資源管理の意義とその効果を十分に理解してもらうことが重要です。このため、県は資源状態などの科学的なデータを収集し、それを基に具体的な資源管理の方法を漁業者に提案し、膝を交えて、とことん話し合いをする、一度で済まない場合は、根気強く、何度でも説明することにより、漁業者の理解を得るようにしています。

問4 それでは、漁業者の痛みを伴うご理解のもと行われている資源管理のみでなく、その他に、水産資源の維持・増大に係る取組みとしてはどのようなものがございますか?

答4 資源管理の他、稚魚の放流といった栽培漁業の取組み、魚礁設置などの漁場づくりが重要です。このため、アワビ、トラフグなど、漁業者が行う稚魚の放流の取組みに対し、実施時期や場所、放流する稚魚の大きさ等について指導を行うほか、稚魚を安定的に供給できるよう、稚魚の生産を行う(公財)ふくおか豊かな海づくり協会に対して支援を行っています。また、漁場づくりでは魚のすみかや餌場となる魚礁を設置しているほか、漁場の環境を改善するための覆砂も実施しています。このような取組みを進めることにより水産資源の維持・増大に努めています。

問5 いずれにしても、永続性を伴う地道な取組みであり、今後ともしっかりと取り組んで頂きたいと考えます。一方で、大切な資源を有利に販売していくにあたって、やはり品質の向上を図り、魚価を上げる努力が必要であると考えますが、県としてどのような取組みを行っているのか。

答5 品質の向上のためには、しっかりと鮮度を保つことが重要です。このため、県では、例えば、つり漁業で獲れるサワラについて、船上での魚のしめ方や冷やし方等、漁獲から出荷までの工程をマニュアル化し、そのマニュアルに沿って処理したサワラを漁協やグループ単位で組織的に出荷するよう漁業者に対して指導しています。その結果、サワラの1kgあたりの単価が従来の約1,200円から、1,450円と、約250円、高く取り引きされるようになりました。

問6 鐘崎で獲れるイカが他県である呼子で商品化されている、こんなことにならないように高鮮度の商品を売り込んでいくためには、消費者に対する認知度の向上のため、福岡県産の水産物のブランド化が必要と考えますが、県内ではどのような取組みが行われていますか。

答6 筑前海では、福岡県漁連が、ケンサキイカを「一本槍」として名称を統一し、県内での販売を拡大する取組みや宗像漁協が地元の観光協会などと協力し、鐘崎で漁獲される天然のトラフグを「鐘崎天然とらふく」として、地元で販売する取組みも進んでいます。また、豊前海では県外で販売されていた豊前前海産のガザミを「豊前本ガニ」として、地元の直売所や宅配で販売する取組みもなされています。県ではこのような漁連等の取組みに対して支援を行うほか、昨年から東京において「ふくおかの天然魚フェア」を開催するなど、県の広報媒体などを通じて県産水産物の認知度向上に努めているところです。

ただいま縷々、ご答弁いただきましたが、今後ともしっかりと資源を管理し、品質向上の取組みに頑張っていただきたいと考えます。

冬季オリンピックも韓国、中国で開かれますし、世界水泳も再び福岡市で開かれ、先日、2026年の名古屋アジア大会が決まりました。2017年~2026年の10年間で、福岡県を取り巻くアジア各地で世界規模の大会が目白押しです。ラグビーのワールドカップ、オリンピック・パラリンピック等に向け、本県あげてキャンプ地誘致に取り組んでおられますが、なぜ福岡県が全庁あげてキャンプ地誘致に取り組んでいるのかと申しますと、その理由のひとつは、私見ですが、福岡県産の水産物等の魅力を世界に発信することだと考えます。

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政府は本年5月31日、2020年の東京オリンピック・パラリンピックで日本の食文化を世界に発信するため、関係省庁による連絡会議を設けました。選手村での食事の調達基準等を検討するため、現在10回に及ぶ会合が開かれていると聞いています。

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多くの外国人の訪日が見込まれることから、食文化の魅力の発信を強め、農林水産物の輸出拡大にもつなげていかなければなりません。

折しも、来年は“宗像”の地において、「全国豊かな海づくり大会福岡大会」が開催され、明後日、本大会に向けたプレ大会として「豊かな海づくりフェスタ」が開催されます。

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問7 第37回となるこの海づくり大会は、天皇皇后両陛下のご臨席を賜ることが通例となっており、この大会では、初めて、本県に天皇皇后両陛下をお迎えする極めて重要な行事であり、魅力ある水産物をPRする絶好の機会であることから、県をあげて盛り上げていく必要があると考えます。

つきましては、是非、本大会に向けた力強い部長のご決意をお聞かせ下さい。

答7 全国豊かな海づくり大会福岡大会は、委員がご指摘のとおり本県が誇る魅力ある水産物を県内外に発信することにより本県の漁業者の意欲が高まります。

また、本県の水産業の振興にもつながるものと考えております。本大会の開催時には本大会会場はもとより、県内外で色々なイベントを実施し、広く本県の水産物の魅力を積極的にPRしていきたいと考えております。

本大会の1年前になる29日、明後日にはプレイベントを実施いたします。このプレイベントについては本大会を見据えて、漁業者、漁船の会場パレード、稚魚の放流等も行うとともに、本県の3海区、内水面の漁業について紹介するコーナー、地元の漁協の女性による魚のさばき方教室、本県の水産物のPRを行いたいと考えております。このような取組みを踏まえ、1年後に開催される本大会に向けて、しっかりと準備を進めていきたいと考えております。

世界遺産を目指す「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群を有する“宗像”の地で、ユネスコの無形文化遺産である“和食”の素晴らしさや本県の魅力を発信していくため、「第37回豊かな海づくり大会福岡大会」の成功に向けて、知事がどのようなお考えなのか伺いたいと存じますので、委員長、知事保留質疑のお取り計らいをお願いいたします。

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