思いのたけブログ

旧福岡県公会堂貴賓館の利活用について

平成28年6月16日(木)、福岡県議会6月定例会において、旧福岡県公会堂貴賓館の利活用について一般質問させていただきました。

質問の内容は以下の通りです。

自民党県議団の岳康宏です。

通告に従って、一般質問させていただきます。

私は地元福岡市中央区西中洲にある旧福岡県公会堂貴賓館の利活用について質問いたします。

まず、平成28年熊本地震によって甚大な被害を受けた熊本県、大分県、福岡県八女市などの皆さまに衷心よりお見舞い申し上げます。

皆さま、報道等でご承知のとおり、熊本城は石垣が崩れ、櫓や城門など国の重要文化財に指定されている13の建築物全てが深刻な被害を受けています。

私は、旧福岡県公会堂貴賓館について質問するにあたり、現地視察をさせていただきました。

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入館料を払い、建物の中を拝見しますと、1階には福岡西方沖地震での被災状況を示した写真や旧県庁解体時に掘り起こした大正2年(定礎式で)埋蔵のタイムカプセルを手にする当時の奥田知事の新聞記事などが展示してありました。また、2階には旧県庁舎と貴賓館の昔の姿を示す模型や福岡県内の他の重要文化財の写真が飾ってあるだけで、残念ですが、また240円の入館料を払って見に行こうとは思えない展示内容でございました。

そこで良い機会ですので、質問いたします。

福岡県内には国指定の重要文化財はいくつあって、福岡県西方沖地震、

(被災者が「り災証明書」または「被災証明書」を示せば、240円の入館料を免除する)東日本大震災、熊本地震の教訓を踏まえて県内の重要文化財が被災した場合の対策はどのように行うこととしているのか、また、現在の旧福岡県公会堂貴賓館の利用者数を教えてください。

今、天神は、本社機能移転やホテルの誘致を促進するため容積率の緩和や建物の耐震化を図り、福岡市天神地区の新たな空間と雇用をつくり出すためのプロジェクト「天神ビッグバン」構想が動き始めようとしています。

その第一弾として西鉄が手掛ける賑わいと観光のランドマーク、水上公園も現在改修が進んでおります。

2階建ての休憩施設の1階部分には“世界一の朝食”と称されたスクランブルエッグやリコッタチーズパンケーキなどで有名なオーストラリア発のカジュアルダイニング「bills」が西日本初出店。2階にはミシュランガイド福岡・佐賀にも掲載された福岡市博多区須崎にある香港料理をベースとした人気店の出店が決まっています。

また、フランス・ボルドー市の生産者らでつくるボルドーワイン委員会の公認で米・ニューヨーク、中国・上海に続き世界で3番目となるワインバーが貴賓館入口に出来ました。店内からは貴賓館の様子も見ることができ、あたかも貴賓館をフランスのシャトーに見立てたかのような演出で希少なワインを一堂に集め、姉妹都市である福岡市とボルドー市の交流の架け橋となるような店構えでした。

このように旧福岡県公会堂貴賓館の周辺環境は、福岡市や民間企業の仕掛けで劇的に変わろうとしています。かつて天神一丁目1番1号は福岡県庁があり、今はアクロス福岡となっています。

天神中央公園も福岡市役所前広場に負けないように、福岡県農林水産祭りなどの企画を考え、試行錯誤しながら”にぎわい”を持たせる努力を行っていらっしゃいます。

しかし、天神から中洲に向かう観光客や周辺住民の方々からは、比較的旧福岡県公会堂貴賓館が暗く、人けもまばらでなんか淋しい、午後5時以降は正面玄関が閉まっているので、レストランにどこから入ればよいのかわからないと言ったお話をよく聞きます。

是非とも県民や観光客の皆さまのご意見に耳を傾け、文化財保護の観点から制約はありましょうが、賑わいを持たせられるような福岡県として恥ずかしくない展示内容にしていただきたいと思います。

そこで質問いたします。

旧福岡県公会堂貴賓館に賑わいを持たせるため、今後どのような取り組みを図ろうとなさっているのかお示しください。

福岡県内にある国指定重要文化財には旧門司三井倶楽部があります。現在は「門司港レトロめぐり海峡めぐり推進事業」において門司港駅前に移転し、ゆかりのある林芙美子資料館やアインシュタイン・メモリアルルームを常設しています。

目玉となる常設の展示を置くことで、人が寄りやすくなりますし、貴賓館の立地を考えると、天神と中洲を結ぶど真ん中に位置し、例えば、世界で九州だけである近代化産業遺産について世界遺産と世界記憶遺産を同時に持つ福岡県をアピールしたり、2017年の世界遺産登録を目指す『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群と同じく2017年の世界の記憶(世界記憶遺産)登録を目指す福岡県も関係する「朝鮮通信使」のコラボ企画を行ったりして、「福岡県」を感じさせる企画・展示を行ってはどうか?

または、八女伝統工芸館や芦屋釜の里に見られるような子どもたちなどの体験型の企画や星野民芸、大川家具、大川組子などの福岡県の工芸品、伝統文化を味わえる展示を考えていただきたい。

そして、同じような国指定重要文化財を利活用している例として、福島県の迎賓館、「天鏡閣」も参考になるのではないでしょうか。

運営は、物産プラザフクシマ、福島県観光開発公社及び福島県観光連盟が統合して発足した福島県観光物産交流協会が行っており、事業報告やFacebook、ブログ、ホームページで積極的に、展覧会や作品の展示、コンサート、発表会各種教室や講座の募集を行い、使用料金は無料になっています。

福島県、京都府のように文化財を「観光」という視点も取り入れて、福岡県の魅力を発信していただきたい。

観光客や若者を引き付けるための「夜の演出」、例えば、2012年9月、東京駅丸の内駅舎の復元を記念して行われたプロジェクションマッピングという建物や空間などに映像を映し出し、リアルとバーチャルをシンクロさせる映像技術を使って貴賓館に注目が集まるようにしていただきたい。

西鉄が天神の由来にもなった水鏡天満宮の移設も含め再開発を計画する、毎日新聞会館、西鉄インがある場所には、その昔、福岡県商品陳列所があり、昭和3年洋画家児島善三郎のヨーロッパ滞在時の作品80点が発表された記録が残っています。

食・文化・観光を通して、「福岡県を感じることができる」福岡県の観光文化の発信拠点、福岡県の天神におけるアンテナショップとして旧福岡県公会堂貴賓館を位置づけられないか。

そこで質問いたします。

福岡県の宝、貴重な財産で最高のロケーションに位置する旧福岡県公会堂貴賓館を今後どのように活性化していくおつもりなのか教育長のご所見を最後にお尋ねして私の一般質問を終わります。

【教育長答弁】

◎ 旧福岡県公会堂貴賓館の沿革と利用者数についてでございます。

旧福岡県公会堂貴賓館は、明治43年に建築された後、昭和56年まで県の公会堂や福岡県教育庁舎など様々な施設として利用されておりましたが、昭和59年、国の重要文化財に指定を受け、本来の姿に修理・復元されて、その保存と活用を図っているところでございます。

明治時代を代表するフレンチルネッサンス様式の木造公共建築として公開され、平成27年度には、県内外から、約6,000人の方に見学いただいたほか、婚礼用の写真撮影などの利用が、182件なされております。

◎ 旧福岡県公会堂貴賓館の地震対策についてでございます。

平成17年3月20日に発生した、福岡県西方沖地震では、貴賓館におきましても、建物内外の壁面の亀裂、天井の崩落などの被害を受けたことから、平成17年度から3年間かけて国の補助により災害復旧事業に取り組みました。

この事業において、耐震診断を実施し、壁の内部に金属の補強を入れるなどの地震対策を行っております。

◎ 旧福岡県公会堂貴賓館に賑わいを持たせるための取組みについてでございます。

貴賓館では、市民ボランティアによる解説をはじめ、コンサートや展示会などの事業を実施しております。また、観光案内情報誌への掲載、ホームページでの周知などにより、貴賓館を広く知っていただき集客を図るための取組みを行っております。

今後も、貴賓館の利用促進に向けた取組みを充実させるため、指定管理の募集を工夫したり、有識者の意見を取り入れて福岡県の特色ある伝統文化等の展示を行うなど、賑わいの創出を図ってまいります。

◎立地を活かしました旧福岡県公会堂貴賓館の活性化についてでございます。

貴賓館は国指定の重要文化財であるだけでなく、福岡市中心部の近代化を物語る、貴重な歴史遺産であります。

この貴賓館の歴史的意義や建築物自体の価値を活かしながら、周辺地域の変化をくみ取り、例えば夜間ライトアップの実施回数を増やしたり、オープンカフェを設けるなど、周囲の賑わいにつながるような貴賓館の活用方策を、検討してまいります。